07月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫09月

雪の進軍

2012年12月09日
NEC_0679_convert_20121209130100.jpg

高野山はこの冬初めての本格的な雪である。

昨日の朝刊でBS某局が「八甲田山」(森谷司郎監督)を放映するのを知り、録画の予約をした。この天気にふさわしい、否ふさわしすぎる映画だが、録画してもう一度観ようと思った理由はほかにある。

9月に南三陸町を訪問した際、私は、お祖父さんが八甲田山雪中行軍隊の生き残りだったという老人に出会った。特にそのことについて話を聞いたわけではないが、強く印象に残った。

そこで帰ってから調べてみた。明治35年1月に起きた八甲田山遭難事件は、青森歩兵第5連隊の雪中行軍隊210名中生存者わずか11名という悲惨極まりないものであった。まったく同じ時期、弘前歩兵第31連隊の雪中行軍隊も八甲田を横切ったが、こちらは一人の犠牲者も出さなかった。この事件を小説化したのが新田次郎の『八甲田山死の彷徨』、この小説を映画化したのが「八甲田山」である。

青森5連隊のわずかな生存者の中から、出身地や階級を考慮して、多分この人だろうという人物を割り出すのに、それほど時間はかからなかった。確証はないし、プライベートなこともあるので詳述はしないが、私の推測が正しければ、その人は、5連隊のその日の宿営予定地であった田代温泉にたどりついて救助された唯一の人物である。映画では緒形拳さんがこの役をやっている。

私は、可哀そうな下士卒たちが雪の中にばたばた倒れてゆくのを見たいわけではない。むしろそういうものはなるべく見たくない。小説は、これからが遭難というところで読むのを中断したくらいである。それでもこだわっているのは、これが、人間と風土との関係を劇的な形で描こうとしていると感じるからである。これは小説というよりむしろ映画の特徴だ。そういう点に注意してもう一度おさらいしてみようと思う。

午後9時を回った。雪の様子は分からないが、風呂で温まって早く寝よう。






ある大学教員の日常茶飯