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ダライ・ラマ法王と科学者の対話

2011年11月13日
11月2日の昼、ダライ・ラマ法王はD院を訪ね、人々と昼食を共にされた。それにしても驚くのは今年76歳になられたとは思えない法王のタフネスぶりである。29日に来日されてから、過密ともいえるスケジュールを平然とこなしておられる。しかも高野山の後は被災地の仙台、石巻、郡山に行かれるのである。

2日目の灌頂本会も無事終了し、砂曼荼羅の御開帳も終わると、スタッフの間にほっとした空気が流れ、「あと一日ですね」という声も聞かれた。その通りではあるが、その1日が問題だと私は思っていた。
午前中は「ダライ・ラマ法王と科学者の対話」である。これはもう茂木健一郎先生にすべてお任せするつもりでいるので気は楽である。しかし最後のセッション「高野山大学学長、ダライ・ラマ法王と密教を語る」は、今回の法王ウィークの総まとめにもなるためうまく乗り切らなければならない。この「密教を語る」は、ダライ・ラマ法王と藤田学長が一対一で対談するのではない。イヌイさん、川崎さん、そして私も一緒に出ることになっている。

基本は法王の御話であることは間違いない。聴衆は何よりもこれを聴きに来るのだから。しかし、ある程度は議論になることが望ましいと私は考えていた。「法王様にも日本密教について知っていただく」不遜にもこう考えていた。しかし、これまでにも書いた通り、本番が近付くにつれて、下手なおもんぱかりや意地のようなものはすっかり脱落して、「法王様のお話をお伺いする」というスタンスでいいのだという気持ちになっていた。

それでも11月2日の晩には、イヌイさんと簡単な打ち合わせをした。イヌイさんは今日まで灌頂に忙殺されてきたので、考える暇はなかったはずである。しかし私が大体の構想を話すと、これから帰って準備すると言ってくれた。つくづく土壇場に強い人である。

11月3日はあいにくの小雨であった。早くにセッティングを終え、控室で佐治晴夫先生、ナターリア・ポルリャーフ先生、茂木健一郎先生をお迎えする。特に一番早く来られた佐治先生からは興味深いお話をいろいろ伺った。

「科学者との対話」は、茂木先生の軽妙な司会もあって、とてもおもしろく刺激的なものになった。惜しむらくは、時間が足らなかった。茂木先生は、自然科学系の人らしく、時間を厳密に守ってくださり進行役としては助かったが、聴衆の一人としては、もう少し聴きたかった気がする。もっとも、宇宙や生命の本質に迫るこの議論、いくら時間があっても足りることはないだろう。またこれにはわが藤田学長も飛び入り参加した。

この日は法王がS院に来られ、昼食会が開かれた。間近で見ていて驚いたのは法王の健啖ぶりであった。法王は非時食戒(ひじじきかい=正午から翌日の夜明けまで食事をしない戒)を守って夕食は取られない。非時食戒を守ったことで知られる河口慧海も一回の食事の量は多かったと伝えられる。自然にそうなってゆくのだろうが、法王の御年を考えれば、まことに結構なことである。

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*S院での会食の席でのひとこま。

この会には、午前中に出演された三先生も出席され、法王との間で続きの議論が展開された。このことと、当日が文化の日で道路が混んでいたことが重なって、一同が黎明館に戻ってまもなく、午後のセッションの開始時間となった。

高野山大学の力