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ついに老眼に

2011年05月16日
メガネをかけたままでは細かい文字が読みにくい。特に辞書を読むのがきつい。これじゃあ仕事にならない。一年半位前から自覚していたことだが、ついに昨日たまりかねて眼科に行った。

お医者はあくまでソフトな人であった。

「老眼鏡というのは、つまり近くを見るためのメガネなんですね。英語ではこれをリーディング・グラスィズ、つまり読書用のメガネと言います」
「はあ」
「ほかに何か聞きたいことありますか」
「いや別に・・・あ、公共施設などで、読みにくかったら使ってください風に置いてあるちゃちなメガネ、あれはいったいなんですか」
「あれはですね、あくまで遠くのものが見える人が・・・・(5分省略)」

よけいなことを聞いて時間をくったが、ともかく、これで私も大分「老人力」がついたことを自覚せざるをえなかった。

帰りに「けやき」に寄って本を買った。最近心がけていることの一つは、本を買うならなるべく町の本屋さんで買うことで、人にもこれを勧めたい。そのうち近所に一軒も本屋さんがなくなっても全然かまわない、と思うなら別だが。

買ったのは、佐野眞一著『甘粕正彦 乱心の曠野』(新潮文庫)である。甘粕が、1923年9月の関東大震災の直後に、無政府主義者の大杉栄と伊藤野枝と大杉の甥の少年を惨殺したという事件はよく知られている。この事件は、甘粕個人の犯行として処理されたが、どす黒い背後関係があったことは今日では自明のことだろう。実はこの時、もう一人の大物「主義者」である堺利彦も危なかったのだが、彼は服役していて助かった。これは黒岩久子さんの『パンとペン』に教えてもらったことだ。堺は、大逆事件の時も刑務所に入っていて助かっている。よくよく運のよい男である。

甘粕正彦は、仙台の北三番町の生まれで、父親は旧米沢藩士、先祖は川中島でも戦った上杉謙信の有力家臣であった。私が彼に興味を持つのは、そういうこともあってのことかもしれない。甘粕事件の甘粕といえば、「エロス+虐殺」とか、ベルトルッチの「ラストエンペラー」における坂本龍一の怪演とかがすぐに頭に浮かぶが、いずれも暗いムードである。佐野氏がこれをどう料理しているかは、通して読んでみないとはっきり言えないが、昨夜と今朝、数十ページ読んだ印象では、なんだかちょっと違うぞ、という感じである。



ある大学教員の日常茶飯