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成田空港まで(2)

2011年03月25日
階段を下りてゆくと、JR浜松町のホームは人の頭しか見えないほど混んでいた。しかし列を乱す者はなく、皆辛抱強く電車を待っている。構内アナウンスが電車の運行状況を伝えている。20分に一本くらいしか来ないらしい。このままでは電車に乗るまでに40分はかかる。駅を出て、トランクを転がしながら歩き始める。サラリーマン風の人々が同じ方向にぞろぞろ歩いているから、道を間違える心配はない。

途中、新橋のたばこやの店先から山本さんに電話すると、何とエア・ランカー(スリランカ航空)は定刻(13:20)通りの出発とのこと。すでに10時近い。これはだめかもしれない。なぜもっと機敏に行動できなかったのかと、しきりに悔やまれる。

3キロは歩いただろうか、有楽町の駅に着く。東京はもうすぐだが、なぜかふと電車に乗りたくなって、ホームに上がってみると、眼下の道路にときどきタクシーが来るのが見える。タクシーは最初からあきらめていたが、これは何とかなるかもしれない。ホームを下り、駅を出て少し歩くと、さっそく一台やってきて、客が降りる。

しめた。半開きになったドア越しに運転手に声をかける。「成田空港行ってくれませんか」

この時の彼の受け答えがとてもよかった。

「何時まで」
「11時半から12時が限度」
「う?ん、話はすごく嬉しいんだけど、嘘をつくわけにはいかない。その時間までに成田に行くのは無理だ。なにせ高速が閉まってるし、東京を脱出しようとする車が多くて道は大渋滞だ」
「そうですか。私もすごく行ってもらいたいんだけれど、そういうことなら電車にします」

お礼を兼ねて、東京駅近くの地下への入り口まで乗って、タクシーと別れる。
フィールドワークの記録