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99歳の詩人

2011年01月07日
昨日、土曜日のK-GURS公開シンポジウムと評議会の打ち合わせのため、京都の花園大学に行った。帰りに難波の本屋に寄ると、例の「99歳の詩人」柴田トヨさんの『くじけないで』が一番目立つところに平積みになっている。

元日にNHKで放送された「99歳の詩人」を見て、これは大反響だな、と思っていたが、案の定である。出版社もそれを予期して、大増刷に踏み切り、正月明けに備えていたに違いない。

番組を見て、私も素直に感動した。トヨさんその人もさることながら、その詩集を読んで感動し、勇気づけられている人がいるということに感動した。

奉公先で意地悪をされて、橋のたもとで泣いていたら、フーちゃんがやってきて慰めてくれた。80数年前の記憶。「ニッポンの夜明けぜよー!」とか「天気晴朗なれど波高し」とかに食傷していたこともあり、こういうのが一昔前までの日本の庶民の感覚だったんだよね、という気がした。

ただ、感動しながらも二つのことを考えた。

一つは、「産経新聞」に詩を投稿していたこの人に注目して、企画を立て、一冊の詩集にした編集者の手腕である。もちろん前もってこうなると予想するのは不可能に近い。彼(彼女)にとっても一生に一度くるか来ないかの大当たりだったのではないか。

二つ目は、トヨさんの息子の存在である。番組の中で、その息子がトヨさんに自作の詩を捧げる場面があったが、ことばの使い方がトヨさんによく似ていた。トヨさんの「成長」には彼の存在が欠かせなかったと思われる。むろん、それでいい。要は、隠れた才能を引き出すには、周囲の努力も必要だということだ。

ジュンク堂で黒岩比佐子さんの遺作『パンとペン』を買って電車の中でずうっと読んだ。これ、これ、私が勝負するのはこっちの方だ、と改めて思った。








ある大学教員の日常茶飯