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夢枕獏さんの手紙

2010年09月01日
各種の仕事をこなしながら、相変わらず袋ファイルでの資料整理を続けている。

昨日は夢枕獏さんからもらった手紙を久しぶりで読んだ。この手紙は、夢枕さんが私に下さった河口慧海の講演録のコピーに同封されていたものだ。その中に、

  仙台は、楽しかったですね。ほんとに「学問」はいいですね。

とある。夢枕さんがこう書かかれた訳は次のようである。

2004年の1月から2月にかけて、仙台市博物館で、東北大学総合学術博物館主催による「河口慧海コレクション」の展示と、それに合わせた一連のチベット講演会が行われた。私は一度はこの講演会で話をさせていただき、数週間してもう一度、今度は夢枕獏さんの講演の後のパネルディスカッションの参加者として再び仙台に呼んでいただいた。

夢枕さんの講演もよかったが、その後の東一番町の蕎麦屋を借り切った懇親会もよかった。そこには当時の東北大学総合学術博物館長の鈴木三男先生を始めとする博物館の先生方や若手の研究者たち、さらには夢枕さんの知り合いの武道家たちも出席していた。宴もたけなわとなり、各自が自己紹介をかねて一言話をすることになった。

その時のことを、夢枕さんが『文藝春秋』2004年5月号に書かれたエッセイ「東北でパトスの宴」から引用させていただく。


「今、こういう研究をしています」
「古武術は凄いですよ」
 ひとりひとりが、自己紹介をかねて、自分の専門分野の話をし、ぼくも書きかけの物語の話をした。すると、その度に別の専門分野の方から声がかかり、質問が飛ぶ。談論風発。
 たいへんによい宴であった。
 途中、奥山さんが、しみじみと叫んだ。
「学問ていいなあ」
 日々、雑事で時間が埋められていくような生活をしていたぼくも、この日は多くの方から熱気をいただいた。
 

 夢枕さんは、その頃出ておられたテレビのコマーシャルで見る通りの、すばらしく感じのいい人だった。それにとても気を遣われる方であることは、上の文章からも分かる。
 夢枕さんには、『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』全4巻(徳間書店、2004年)という大長編伝奇小説もあり、ご自身高野山のファンだとも言っておられた。
あれから結構時間が経ったが、機会があれば、一度高野山に来て頂きたいと今も思っている。
ある大学教員の日常茶飯