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猫楠の行水

2010年05月09日
8日(土)は田辺で山折哲雄先生の南方熊楠賞の授賞式と記念講演、そして祝賀パーティーがあった。都合でパーティーにしか出られなかったが、田辺じゅうの名士が集まったかと思われるほど盛大、かつ和やかな会だった。

山折先生、本当におめでとうございます。

一泊して、今朝、闘鶏神社を訪れた。この神社は、武蔵坊弁慶の父親とも言われる熊野別当湛増が、源平のどちらにつくかを紅白の鶏合わせによって決したという話によって知られている。

山折先生 022
*拝殿の背後がこんもりとした杜になっていて、今も貴重な植物が多いという。

山折先生 016
*境内にある湛増と弁慶の像。


熊楠の奥さんの松枝さんは、この神社の宮司田村宗造の四女だった。
境内を回っていて思い出したのは、二人が婚約中のある日、熊楠が丸々とした灰色の猫を抱えて訪ねてきて、この猫に行水をつかわせてほしいと頼んだというエピソードである。

二人の娘文枝さんが松枝さんに聞いたところによれば、田村家では姉妹総出でテンヤワンヤの騒ぎの末、ようやくこの猫を洗い終わると、きたならしく見えた灰猫が白黒のはっきりしたなかなかハンサムなぶち猫に変わった。熊楠は大喜びし、その後も虎猫や三毛猫を連れてきて行水を頼んだという。

熊楠は大の猫好きだった。『高山寺蔵 南方熊楠書翰』に収録された一書翰には、猫族は哺乳類の中で身体構造が最も優れているということが自慢げに書いてある。

熊楠らしいこのエピソードを、水木しげるさんも『猫楠』の中に取り入れている。





研究ノート