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「日本のチベット」発言

2010年02月25日
民主党の議員のこの発言が波紋を呼んでいるらしい。

「鳥取とか島根は日本のチベットみたいなもの」

「○○のチベット」とは、特定の区域の中で最も遅れた場所を指して、その区域のチベットに指定するという差別的ニュアンスの強い表現である。たとえば、英語にthe Tibet of…などという表現があるとは聞かないから、これは多分、日本独特のものである。

最近は公共の場でこのような表現が聞かれることはなくなったと思っていたが、今回の一件は、これが死語でないことを改めて印象付けた。実際、インターネットをよくよく見れば、日本中にこの種の「チベット」があることが分かる。寒冷な山岳地帯はチベットのイメージに合っているせいか、「チベット」と呼ばれることが多いが、驚くなかれ、東京23区内にも「チベット」はある。つまり「東京のチベット」(東京で最も遅れた場所)である。

この種の表現は、どの区域であれ、中心と周辺に分けないではいられない人間の性から生まれると言ってよいだろう。だからこれは「差別の入れ子構造」を容易に作り出す。日本のチベットは○○県、○○県のチベットは△△地区、△△地区のチベットは××村という風に。

自分の故郷が「○○のチベット」と呼ばれて喜ぶ人はまずいない。そこに地域差別的意味合いが込められていることをストレートに感じ取るからだ。むろん、これはあくまで日本人の心の問題であって、実際のチベットとは無関係だ。

今回のような一件に接して、「○○県のような所をチベットに例えるなんて、むしろチベットに失礼だ」というのも、差別的な発言になるので注意が必要だ。

ともあれ、「○○のチベット」は責任ある立場にいる者が公の場で使うべき表現ではない。そこを「チベット」と呼ぼうと呼ぶまいと、公然とした地域差別が許されてよいわけはない。

まあ、今回いきなり「チベット人」にされてしまった方々には、「日本のチベット」で地域興しでもするか、といった余裕ある態度でこの問題に接してもらいたい。



研究ノート