FC2ブログ
07月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫09月

植物帝国主義

2020年07月10日
川島昭夫先生の『植物園の世紀 イギリス帝国の植物政策』(共和国)が送られてきた。それがお弟子のS氏の配慮であることはすぐにわかったので、礼メールを出しておいた。

装丁がなかなか凝っている。カバーをめくると、戦艦バウンティ号の叛乱の図が出てくる。この場合肝心なのは、船の上に控えめに顔を出している樹木である。これがパンノキで、バウンティ号はそれをタヒチからカリブ海に運ぶために仕立てられた船であることが分かるのは、本書の第7章を読んだ時だ。

この内容であれば、カラー図版を多用した大型本にすることも可能であったろう。このコンパクトさは、著者の粋なセンスの顕れなのかもしれない。

セイロン島中央部のペーラーデニア植物園を訪れたのは、ずいぶん前のことであるが、その時の印象はまだ消えずに残っている。植民地の植物園というものは、単なる庭園趣味や研究のためにあった訳ではなかったのだ、と。

川島先生との接触は、熊楠関係の研究会などでたまに顔を合わせる程度の淡いものであったが、この本を前にすると、当然のことながら、もっと話を聞いておくべきだったという感は深い。「あのおっちゃん、こんなことやって楽しく遊んではったんやなあ」
読書ノート | コメント(0) | トラックバック(0)
コメント