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ペスト1896

2020年02月27日
1896(明治29)年からボンベイ(現ムンバイ)でペストが大流行した。それは、天台宗の大宮孝潤(おおみや・こうにん)がセイロン(現スリランカ)のコロンボから送った報告によれば、100万都市ボンベイの住民のうち35万人が地方に避難し、死者は毎日数百人を数え、火葬に必要な薪の値段が10倍に高騰するほどの猖獗ぶりであった。
当時からボンベイには日本人が住んでいた。日本公使館や三井物産などの駐在員とその家族もいれば、「唐行きさん」のような女性たちもいた。前者ならばマラバールヒルのような高級住宅街で息を潜めることもできるが、後者の生活圏はインドの庶民のそれとまったく変わらない。いずれにせよ、彼らがこの恐ろしい状況をどう耐え忍んだかは想像もつかない、と思ってきたが、最近の新型肺炎の流行で僅かながら実感できる気がしている。

ちなみに大宮はこの年の初めにボンベイに着き、11月にコロンボに転学した。ペスト蔓延の折から、ボンベイからコロンボへの直行便が停止されていたため、彼はチュチコリンまで行って乗り換えようとした。ところがそこで検疫のために10日間留め置かれ、その間にコレラが発生して渡島ができなくなった。そこでマドラス(現チェンナイ)まで汽車で行き、ようやくコロンボ行きの船に乗ることができたのであった。
隔離と移動制限、これが今も昔も防疫の基本であることが分かる。

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