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消えずの霊火

2017年06月14日

ゴルドン夫人は、その著『弘法大師と景教』の中に次のように書いている。

「予は1日彼の快絶奇絶なる森林を過ぎ、絶壁を攀ぢ、山の頂上に達して一の巨大なる聖火を見たり。こは実に予が世界周遊中に於て見たる最も奇異なるものなりき」


宮島ロープウェイが開業したのは1959年である。それまでは徒歩で登るしかなかった。夫人が登ったのは、大聖院そばからの登山道、あるいは、滞在先のみかどホテル(のちの宮島ホテル)のあった大元公園からのそれであったと思われる。60歳に近く、かなり肥満していたはずの夫人にとっては、つらい登山であったと察せられる。


夫人を驚かせた「巨大な聖火」とは、霊火堂の「消えずの霊火」である。1200年の昔、この地で修行された弘法大師が点じた護摩の火が今日まで絶えることなく燃え続けている。この火には大茶釜がかけてあり、その湯は万病に効くと信じられている。私も一杯頂いた。

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*霊火堂。内部の写真は敢えて掲げない。


そこからさらに登り、三鬼神を祀る三鬼堂などを経て、

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「くぐり岩」をくぐり、ついには頂上へ至る。

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弥山の頂上は巨大な磐座(いわくら)で、神々が降臨するのにまことに相応しい場であった。標高はわずか535メートルだが、いやはや、登りでのある山である。登山道が今ほど整っていなかったことを考えれば、ゴルドンの「絶壁を攀ぢ」という表現も決して大袈裟ではない。


残念ながら、この日は眺望がよくなかった。しかし、霊火を見たのと、それからゴルドンが発見したという「ダブルアックス」が何であるかも見当をつけることができて、私は満足して下山にとりかかったが、大変なのはそれからだった。





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