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能海寛のノート

2009年02月04日
 能海寛と書いて、「のうみ・ゆたか」と読む。

 河口慧海と同時代にチベットを目指した青年僧の一人だ。数年前から彼の著作集の刊行が始まり、その何巻目かの解説が私に回ってきた。

 能海寛研究会は全国組織で、会員は200人を超すはずだから、何も私がやらなくてもいいようなものだが、他ならぬ隅田さんからの依頼では引き受けざるをえない。

 隅田さんは、島根の能海の故郷で、長年、能海の発掘、顕彰を続け、能海で地域興しを実現した人物だ。これは本当にすごいことだと思う。

 ということで、今担当する巻の内容に目を通している。主なものは彼が残した学習ノートブックで、サンスクリットやチベット語を懸命に勉強していたことが分かる。一次資料を誰よりも早く見ることができるのが解説者の特権だ。

 慧海と能海にはそれぞれ贔屓筋があって、お互い何となくぎくしゃくした雰囲気があるけれど、そういうことにはもはや意味はない。この7月に研究会で話をするように言われているので、ついでにそんなことも話してこようと思っている。

 能海は、チベットを目指して中国奥地に入ったきり、帰って来なかった人物だ。

 数年前、彼が越えようとして越えられなかった金沙江(長江上流)をデルゲの近くで渡って、東チベットに入ったことがある。

 黄濁した巨大な流れに、見ているだけで、飲み込まれそうな気がした。

 

 

 
研究ノート