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おくやまに

2016年09月19日
夜明け前に鹿が鳴いた。それもすぐ近くで鳴いた。

きゅ~ん

と一声。何ともいえない憂いを含んだ声であった。

半分まだ眠ったままで、ああ、ウセルさんがよく鹿が来ると言っていたのはこれだなと思った。

声聞くときぞ秋は悲しき

だったかな。上の句はなんだ。・・・ああ、奥山にもみぢ踏みわけ鳴く鹿の、か、ハハ。

起きてスマホを開いたら、「サルの群がゴルフ場で人を襲った」ニュース。
サルが「きせいを上げて」襲ってきた、というところで、ケガをした男性には気の毒だが、ちょっとだけ、おかしかった。

「きせい」は奇声であって、まさか「気勢」じゃないだろう。でも、サルが奇声を上げる、という表現もどこか変だ。

何に怒ったのか、もしくは恐れたのかはしらないが、サルにとっては、自然に出た声である。奇声を上げたつもりはないに違いない。むしろ、サルが「コノヤロー」などと人に分かる言葉を発したら、もっと奇異だし、恐い。

鹿の声に無常を感じるのも、サルの声が奇妙だと思うのも、人のこころだ。

だが、それにしても、野生動物の力には人間など到底及ばないものがある。
このあいだ、熊を空手で撃退した男性が話題になったが、そのような心得のない私は、せいぜい出会わないように用心しなければならない。

ある大学教員の日常茶飯