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常山紀談

2009年01月07日
 今日から事務が仕事を始め、図書館も開いて、2009年が本格始動した。
 図書館が開いてくれたのが何より嬉しい。
 さっそく調べたのは、大田南畝の『一話一言』である。熊楠は、これとか、湯浅常山の『常山紀談』や『文会雑記』など、江戸の文人の著作はよく読んでいる。中には風来山人こと平賀源内の『江戸男色細見』、別称『菊の園』などというのもある。
 私にとって、こうした書物は、今の仕事がなければ一生目をとおすことはなかったはずの本たちである。
 まあ、・・・・ありがたいことだ、と言っておこう。

 ちなみに『常山紀談』は有名な武将史談集で、このあいだ、本屋で「天地人」あやかり本を立ち読みしたら、この書からの引用が目に付いた。そのうちの一つを紹介しよう。

 伏見の城にて諸大名いくらも並居たる中に、伊達政宗懐中より金銭取出して人々に見せられしに、其頃金銭の始まりしころにて、珍しとてもてはやさる。直江が末座に有りしを、「これ見られよ」と有りし時、直江扇の上に金銭を置きて打ち返へし、女童のはねつくやうにして観しかば、政宗、「いや苦しうも候はず。手に取られよ」と言ひも終らぬに、直江、「謙信の時より先陣の下知して麾(ざい=采配)取り候手に、かかる賤しき物とれば汚れ候故、扇に載せて候」とて政宗のかたに投げ戻しけり。(『常山紀談』巻之十一)

 史実性は私には判断できないが、政宗に喧嘩を売るとはいい度胸ではないか。「謙信の時より」というのが泣かせるし、諸大名に金貨をみせびらかしている政宗も、戦国のモダニストという感じで決して印象は悪くない。

*なお上の引用は、菊池真一氏の翻刻本(和泉書院索引叢書30)に基づいたが、送りがなをいくつか加え、いくつかの漢字をかなに置き換えてある。正確なテキストは、この翻刻本でご覧ください。
研究ノート