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法輪寺に行く

2015年06月07日
6月6日(土)
昼過ぎから田辺に行った。「南方熊楠と真言密教展」のために借りた黄檗版が未返却になっていた。顕彰館のスタッフに返却を任せても結果は同じであることは分かっていたが、どうしても自分の手で返さなければ、と思っていた。6月に入ったので、ここらが限界だと思い、思い切って出かけることにした。
3時少し前にN尾さんと法輪寺に行くと、住職はまだ帰っておられなかった。しばらく、庫裡でお茶を飲みながら待った。ふと見ると、庭の池の上に網が張ってある。明らかに池の魚を護るためだ。『徒然草』の1段を想い出した。後で聞くと、ゴイサギに何匹も捕られたのだそうな。

住職が戻られたところで、持参した黄檗版5帙を、借用証に照らして、一つひとつ冊数を確認してもらってから、本堂裏の収蔵庫の木箱の中に戻した。そのあと、住職と1時間ほどお話しした。
開創法会期間中に行われた永平寺の慶讃法会に水を向けると、声明を次々と何節も唱ってくださる。住職の声明は、本当に、ありがたい感じがして、自然に頭が下がる。法話もきっといいだろう。
住職は、私と同じ山形の出身だ。経歴などは聞いていないが、田辺に来られてから、半世紀以上は経っていると思われる。まったく見ず知らずの土地で、言葉からして違っていたというから、それなりに苦労はされたはずだ。

この人を見ていると、坊さんっていいな、と思う。私が柄にもなく、自分で借りたものは自分で返したいなどと言っていたのは、実は、この人にまた会いたかったからかもしれない。

お借りしていた黄檗版5帙は、いずれも熊楠が法輪寺から借り出して抄写したものである。
ある大学教員の日常茶飯