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コレラ1890

2020年03月01日
1890年(明治23)9月に紀伊大島近くで起きたエルトゥールル号の遭難の遠因はコレラの流行にあった。船内にコレラが蔓延したため、横須賀の長浦消毒所(検疫所)に2ヶ月近く船ごと隔離され、そのためイスタンブルに向けての出航が台風シーズンにかかってしまったのである。
当時の日本は、港町を中心にコレラの流行に悩まされていた。エルトゥールル号事件の生存者69人を本国に送致するために出動した「比叡」と「金剛」が、神戸で生存者を分乗させた後、午前2時に出航して伊予の三津浜を目指したのも、コレラ禍を避けるためであったらしい。ところが三津浜でもコレラ発生の情報があったらしく、両艦は早々に長崎に回航している。船という閉ざされた空間にとって疫病が大敵であることは、いやというほど分かっていたのである。

ちなみに、エルトゥールル号事件の犠牲者は587人とされることがある。この数字は事件発生直後から公文書に表れるが、確定的なものとは言えない。東洋大学の三沢先生は、消毒所の記録などから、海難による死亡者を約500人と推定しており、私もこれに従っている。

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