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鳥羽伏見の戦い

2010年06月03日
最近は寝しなに野口武彦著『鳥羽伏見の戦い』(中公文庫)を読んでいる。

睡眠導入剤代わりに読むものだから、妙に肩が凝るものや、専門に近くて読んでいるうちに目が冴えてくるものではだめだ。その点、これは効果抜群の本である。といって退屈なわけではない。いや、その逆で、なかなかおもしろい。

鳥羽伏見の戦いといえば、子供の頃に仕入れた知識で、刀槍で武装した旧幕府軍が、薩長軍の新式の銃と大砲の前に敗れ去った戦いというイメージからなかなか抜け出せなかったが、この本のお陰でそれをかなり訂正できた。

旧幕府軍のフランス伝習兵が高性能のシャスポー銃を装備していたかどうかについては論争があるらしく、著者はその論証に力を注いでいるが、私にとって重要なのは、薩長軍の圧勝に終わったこの戦いも、やってみるまではどっちに転ぶか分からなかったというスリリングな展開である。

もしも旧幕府軍総司令官の徳川慶喜に陣頭指揮を執るほどの勇気があったならば、もしも旧幕府軍が大軍を利用して多方面から同時に京をめざしていたならば、そしてもしも前線の司令官が最初から一戦に及ぶことを覚悟し、いつでも発砲できるように銃に弾を込める命令さえしていたならば、戦局は大分変っていたに違いない。歴史はifの連続だという著者のことばは納得できるものである。

つまり「下手をすれば」旧幕府軍が勝っていたかもしれないのである。

私はそれで一向に構わないのだが、もしもそうなったら、戊辰戦争の規模は何倍にもなって日本中が火の海になり、英仏の介入さえ許していたかもしれないから、結果はこれでよかったのかもしれない。


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