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負託

2009年05月12日
私「神田君、これを見たまえ」
神田「おっ、Y田先生の論文ですか」
私「そう、一昨日、田辺でもらった。まだゲラの段階のを特別に見せてくれたのだ」
神田「どうです」
私「おもしろい、刺激的だ。しかし、」
神田「しかし?」
私「今僕が言いたいのは別のことだ」
神田「といいますと」
私「日本中、いや世界中で熊楠の研究者がどれほどいるかは知らないが、そのなかで常々こうして論文や評論を公にしている人間の数は限られている」
神田「そうですね。あの人とあの人とあの人・・・という風に顔が浮かぶくらいです」
私「そうだ。そしてその人たちは、今われわれが何をやっているかを知っている」
神田「まあ、何人かはそうでしょうね」
私「そしてそのうちの何人かは、自分の研究にとって〔高山寺〕資料が決定的に重要らしいということをうすうす感じているはずだ」
神田「まあ、そういうこともあるかと」
私「ところが、彼らは文句ひとつ言わずに、私たちの仕事が終わるのをじっと待っている。友だちだから、知り合いだからといって、横から見せろ、などと言ってくる人は一人もいない。マナーよく、みんな待っていてくれるのだ」
神田「まあ、大体の人はそうかと」
私「これは負託だ。私たちはいい仕事を一刻も早く出す責任があるのだ。もう何回見ても□□が埋まらないなどと贅沢な泣き言を言っている場合ではないし、オーサカのジャズ喫茶に入り浸っている暇もないのだ」
神田「分かりました! いっそう奮起します。これからは『般若心経』を唱えながら作業することにします!」
私「よし、その意気だ!ちょっと違うような気もするが」
研究ノート
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