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学問と決死すべし?

2009年01月11日
 昨夜、密教文化研究所の玄関を出たら、雪が止んだ外が妙に明るい。雪明かりかと思ったら、中天に薄雲を通して満月が光っている。こういう月を西行もながめただろうか。ひとっこひとりいない表通りを新雪を踏んで帰る。伽藍も森も雪に閉ざされて静まりかえっている。高野山ならではの風情である。

 さて、注である。注にもいろいろあり、一番簡単なのは、これは何、この人は誰、というやつで、基本的にはこれでいいようなものだが、これだけつきあってくると、もう少し深いところまでやって、レベルを上げたいという欲が出る。

 たとえば、「学問と決死すべし」が熊楠の座右の銘の一つであったことはよく知られている。それが熊楠の尊敬する新井白石に関わることはこれまでにも指摘されている通りだが、高山寺資料の1通にそれがもう少し詳しく出てくる。若き日の白石が河村瑞軒にこう戒められたという話である。この話が「学問と決死すべし」の出所であることは明らかである。

 しばらく前までは、河村に注をつけてお茶を濁していた。しかしある日、待てよ、と考えた。これは意外に重要かもしれない。そこで調べてみると、この話は結構有名だったようで、いろいろな本に出てくるではないか。そこでそれらを踏まえて、注を大幅に書き直した。これはまだ中途で、できれば話の大本を明らかにしたいと思っている。
 お心当たりの方は、ご一報願いたい。

 ところで私の部屋のホワイトボードには「学問と決死せよ」と書き付けてある。
 しばらく前、院生の入道イケダがそれを見つけて、「ありゃ何ですか」と聞くので、「いやなに、知り合いの熊公というのがこんな世迷い言を書いててね」とごまかした。

 この言葉は若者にこそ似合うもの。われながら今頃になって「決死」じゃあしょうがないな、という思いもある。

 
ある大学教員の日常茶飯
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