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蛇になった男

2008年07月08日
 人文研で、「September 11」に収録された今村昌平の短編を見た。磯前先生が先月の発表の中で、タラル・アサドが注目していた作品として紹介したものだ。この映画、世界の著名監督11人が9.11をモチーフに、それぞれ9分11秒の小品を持ち寄ったオムニバス映画である。
 今村作品は、太平洋戦争末期の日本のある村で復員軍人が巻き起こす騒動を描いている。戦争から帰ってきたある男が、人が変わったというよりは、人間であることをやめてしまい、蛇のようにはいずって暮らしている。家族の呼びかけにも、「シャーッ」と威嚇で応えるだけ。ついには家を追い出されるが、そのことで村はかえってパニックに・・・最後のシーンで、滝つぼに水を飲みに行った妻が男に出会う。妻は「そんなに人間が嫌か!」と叫ぶが、蛇男は、何も応えずに、水の中に入ってゆく。
 まずキャストの豪華さにびっくり。丹波哲郎、柄本明、北村和夫、緒方拳、役所広司らがろくに科白もないちょい役で出ている。これは多分、監督の呼びかけに、今村組がノーギャラで集合したものと思われる。
 太平洋戦争と9.11をどう結び付けるか。キーワードは「聖戦」だが、それとは別に私が注目したのは、蛇男が結構のうのうとやっている点である。男が蛇になったのは、その方が楽だからに違いなく、その気持ちは、ちょっとだけだが、分からなくもない。
ある大学教員の日常茶飯
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