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高野山大学の力 図書館

2008年05月31日
 うちの図書館は、規模は小さいが、仏教関係では、日本有数の貴重資料の宝庫といって間違いない。しかもそれらを惜しげもなく公開しているから、全国から研究者が集まってくる。
 昨日は和歌山県知事が来校されるというので、閲覧室に、教員でも滅多に見られない飛び切りの貴重資料が展示されていた。
 圧巻は、国の重要文化財に指定されている経典の数々である。中には奈良時代の写本もある。見入っていると、図書館職員の木下さんが近づいてきて一言。
「これなんか、弘法大師が手に取って読まれたものかもしれませんよ」
 なるほど。年代からすれば、その可能性もまったくないとはいえない。
 それにしても和紙と墨というものは何と偉大な文房具であろうか。千数百年前に書かれたとは思えない瑞々しさである。
 高野山大学の学生・院生は、江戸時代ぐらいまでの写本・版本であれば、現物を直接見て、研究ができるという、恵まれた環境にある。
経典

                         高野山大学の図書館が所蔵する経典の一例
高野山大学の力

何匹目のドジョウ?また南方熊楠の新資料発見!

2008年05月26日
私「(K田君あらため)神田君、これは親王院さまからお預かりした熊楠関係の貴重資料だから、くれぐれも慎重に取り扱ってくれ。熊楠の書簡は全部水原尭栄師に宛てられたものだ。君も知っての通り、来月9日からの展覧会に出陳される予定だから、とりあえず、このなかに全集に漏れているものがないかどうか、チェックしてくれないか」
神田「はあ、何だか面倒ですけど・・・、せっかくですから、ちょっと見てみます」
数十分後。
神田「あのお、ちょっと困ったことになって・・・来て頂けます?」
私「何だ、何だ、どうしたというんだ、PCでも壊れたのか」と院生の研究室に急行する。
神田「この葉書4通とこの封書1通は、全集にないんですけど」
私「えっ、それじゃ新出資料ってわけ?」
神田「そのようですが」
私「ふーん、こういうこともあるわけね。それにしても、この封書、何だかおもしろそうだが」
神田「(声に出して読み始める)余が30数年前に描きし、いわゆる南方曼荼羅はただの妄想にて」
私「じょ、じょうだんはよせ!」
神田「てへ、すんません、今度はまじめにやります。日付は昭和14年、最晩年に近い手紙ですね。・・・ん、大日如来!?」
私「何?どれどれ・・・げっ、金剛経!大日経!」
二人「(思わず顔を見合わせて)こりゃホントに困ったことになったぞ!!」
研究ノート

河口慧海日記

2008年05月25日
河口慧海著、奥山直司編『河口慧海日記 ヒマラヤ・チベットの旅』講談社学術文庫、2007年

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 この本は、河口慧海(かわぐち・えかい)の有名な『チベット旅行記』(全5巻、講談社学術文庫、高山龍三校訂)の元になった彼の旅行日記を校訂し、注と解説を付したものです。
 不肖わたくしが編者ということになっていますが、これは河口慧海研究プロジェクト(代表・川喜田二郎先生)の総力を結集した研究の成果であることを明記しておきたいと思います。
 先日、ある出版社で、「これって、最初から文庫なんですか」と聞かれたので、胸を張って、「そうです。同じ棚に並んでいる『チベット旅行記』の続きだと錯覚して買ってしまう人が出てくるのを狙いまして」。
 もちろんこれは冗談で、ほんとうは、ヒマラヤまで携帯して、現地で読めるように、このサイズを選んだのです。そういう読み方がふさわしい本に仕上がったと自負しています。
原稿を集中的に書いたのは、2006年の秋ですが、書いているうちに、自分はこれを書くために今まで勉強してきたのではないか、という錯覚に陥りました。
 こういうノリが大きな仕事には必要なのでしょう。今は、ある往復書簡集に注を書くために生まれてきたような気が・・・・。いや、この思い込みは、今度こそちょっと危険だぞ。
 
読書案内

ランボー者

2008年05月20日
 昨日は京大人文研の研究会に出て、最終電車で帰山した。先週から出歩きすぎていて、精神的にちょっと疲れている。
 ところで、ランボーの最後の戦場はミャンマーだそうな。大阪の地下鉄で大きなポスターを見た。ご都合主義のストーリーとは分っていても、ついつい見てしまうのがこの手の作品だ。
 思い出すのは、2001年の9月、アメリカ同時多発テロの直後にインドを訪れた時のことである。シッキム州のガントクに着き、ホテルにチェックインして、部屋のテレビを点けると、何と「ランボー 怒りのアフガン」をやっているではないか。
 テロの復讐に燃えるアメリカが機動部隊をアフガニスタン向けて動かし、戦争の足音が近付いている最中のことである。これが戦争に便乗した特番だったら凄いな、と思いながら、つい見入ってしまったが、トンバという地酒でほろ酔いになっていたせいもあって、途中から頭が少し混乱し、誰がどっちの味方だったかを何度か確認し直さなければならなかった。
 何しろシルベスター・スタローンの当り役であるこの映画シリーズ。元特殊部隊員のランボーが、毎回、止むに止まれず、はちゃめちゃにあばれまくるというストーリーで、この巻は、舞台はソ連軍侵攻下のアフガン、悪いやつは冷酷非情なソ連軍の将校、味方はムジャヒディンとこれを支えるアフガンの民衆ときている。ところがこの時、実際にアメリカがしようとしていたのは、かつては支援していたはずのアフガンの戦士たちの頭上にミサイルの雨を降らせることだったのだから。
 事情が変わったとはいえ、超大国に、アクション映画顔負けのご都合主義を感じざるを得なかった。むろん、テロの犠牲者への哀悼を惜しむ気はなかったが。
 
ある大学教員の日常茶飯

待宵月

2008年05月18日
 所用で明王院の高岡さんに会いにゆき、帰りに本山の駐車場までくると、群青色の夜空に待宵月がボーッと光っている。回りに金の砂を薄く撒いたような朧月である。
 明日5月19日は満月で、スリランカではウェサック祭が行なわれる。ブッダの誕生、成道、入滅を記念する光の祭である。
 明日の月に、大は人類文明の調和のとれた発展から、小は私の家族のささやかな幸せまで、あらゆるよきものを祈りたい。
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            ♪十四番目の、月が一番すき♪

 ところで、暦という素人にはなかなか理解し難いが、時にはその知識が必要となるものについて、とても役に立つHPがあるので、勝手に紹介しておきたい。「こよみのページ」である。大人気のHPだが、管理者のかわうそ氏は初歩的な質問にも気軽に答えてくれる篤実の士である。
ある大学教員の日常茶飯

中国の地震 ある中国人との会話

2008年05月16日
彼「(私を見て待ちかねたように)今年の中国は出来事が多すぎるね」
私「(気の毒なので話題にする気はなかったが、つい引き込まれて)ええ・・・、今回の地震は、何と言ったらよいか、とても言葉が見付かりません。中国は各国の救援隊を受け入れないんですか」
彼「(四川省の地図を示しながら)四川というところはね、昔から要害の地なんですよ。ここには沿海部から重要な施設が移されている。ここらの山岳地帯には秘密の施設が少なくないんです。だから外国人はできれば入れたくない・・・」
私「その移動というのは、中ソ対立の時代に、ソ連の攻撃に備えてですか」
彼「ソ連とか、アメリカとかね」
私「私は昔、チベットに行く時、成都の錦江飯店に近い『ブラックコーヒー』とかいう安宿に泊ったんですが、そこは何と防空壕を改造して木賃宿やディスコにしたものだった。いやはや、ひどい所で、自分でも今から考えれば正気の沙汰ではなかった」
彼「そういう防空壕の二次利用というのはあるね」
私「しかし、それにしても早く助けないと生き埋めになった人々は・・・」

その後、日本の国際救助隊の出発をニュースで知った。ちょっと涙腺がゆるんだ。
                                     ガンバレ、ニッポン!
ある大学教員の日常茶飯

日光菩薩 月光菩薩

2008年05月15日
 ある委員会の委員を委嘱されて東京へ初会合に行った。それが夕方から夜にかけての会合だったため、東京に1泊せざるを得なかった。おまけに空き時間がやたらに多い。そこで、その一つを利用して、東博に薬師寺展を見にいった。
 奈良西の京の薬師寺から、金堂本尊の薬師如来坐像の両脇侍である日光菩薩と月光菩薩がそろって出張してきている。しかもこれが360度、背中のくぼみまで見ることができるという大盤振る舞い。薬師寺には何度も行ったが、こういう機会は二度とはなさそうである。
 やはり行ってよかった。実は私はこの三尊像をちょっと苦手にしていたのだが、そういう感じは今回で払拭できた。なぜ苦手にしていたかというと、この仏像があまりにも完璧で、むしろ一種不可解な印象を受けていたからである。
 「完全仏像」という想いは、拝観後も変わらないが、それに親しみとある種の誇らしさが加わったとでも言おうか。それから、かつて東塔と西塔にあったとされる塑像残欠もとても興味ぶかかった。
 
 
 
 
ある大学教員の日常茶飯

南方熊楠 読み合わせ

2008年05月12日
 近頃、K田君と南方熊楠・土宜法龍(どぎ・ほうりゅう)往復書簡の読み合わせを進めている。以下はそのひとコマ。

私「然レ共若シ答ヘテ云ハバ、小生ハ今日現在ニテ自利ヲ他シ、か。ん?この『他シ』って何だ?どう読むんだ?」
K田「はて・・・・」
私「原本はやっぱり『他シ』か?」
K田「そうですね。『赤本』はどうなってます?」
私「ええと・・・、うん、同じだねえ。ちょっと写真見せて」
K田「はい」
私「(しばらく写真を凝視した後、にんまりして)K田君、ちがうよ!『自利ヲ他シ』なんかであるものか。『ヲ』じゃなくて、この字は『々』だ。ここは『自利々他シ』、つまり『自利利他(じりりた)シ』だよ!」
K田「あ、ホントですねえ」
私「やったな、K田君!ついに『赤本』を超えたぞ。一ヶ所だけだが」
K田「(サメザメと泣いて)おめでとうございます。僕も苦労した甲斐がありました」

神は細部に宿りたもう。しかし、それにしても、こんなことで感激している人間は、日本中、いや世界中探しても、われわれだけであろう。
こうして高野の夜はしんしんと更けてゆく。
研究ノート

通信制大学院学習支援会

2008年05月12日
 昨日、梅田の太融寺で開かれた高野山大学通信制大学院の学習支援会へ出張し、「チベットと日本人」のテーマで講義を行なった。
 私は寝起きはきわめてよい方だが、昨日にかぎってなぜか寝込んでしまい、気がつけば、時間がない!あわてて電車に乗り、梅田からはタクシーに乗って、開演時間の1時ジャストに会場に到着。すんでのところで大チョンボを免れたが、これって実質的には遅刻ですね。事務方には迷惑をかけました。
 90分の講義の後、休憩をはさんで、質疑応答などがおよそ1時間。みなさん熱心な方ばかりだった。
ある大学教員の日常茶飯

ミャンマーの災害

2008年05月09日
 ミャンマーのサイクロン被害は、報道が進むに連れて、壊滅的大災害であることが明らかになりつつある。何もできない自分がはがゆいが、せめて災害支援募金に応募しよう。

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          シュウェダゴン・パゴダ(ヤンゴン)にて(去年3月撮影)
ある大学教員の日常茶飯
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