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インドサイ

2018年06月11日

6月11日(月)

昨日また管理組合の用で堺に帰ったが、家の中には入らず、いつもどおり泉ヶ丘駅前の商店街で時間を過ごして、御山に戻った。

リフォームが始まってかれこれ一ヶ月。自分の家で休めないことで、さすがに疲れてきたようだ。


昨日は高野山ウルトラマラソンが開かれ、大学は、スタートとゴールになったおかげで早朝から夕方まで賑わった。私は、そこまでテンションが上がらないので、早めに曼荼羅荘に引き上げ、キャベツを肴に冷酒をいただきつつテレビを見ていた。

相変わらずタレントが食べ歩く番組が多い中で、アッサムのカジランガ国立公園にサイを追う番組がおもしろかった。映し出されるインドサイたちは、デューラーの有名な犀の図に実によく似ていた。場所はブラフマプトラ河の南岸に広がる低湿地地帯である。私は、北岸を車で走ってアルナーチャルプラデーシュ州に向かったことがある。その時には、あまり関心がなかったが、今はこのカジランガやネパールのチトワン国立公園で、ゾウに乗ってサイやトラを見るのも悪くないと思っている。

 

「犀の角のようにただ独り歩め」


中村元先生による『スッタニパータ』の和訳、『ブッダのことば』(岩波文庫)を通じて一般に知られるようになった仏教の古い言葉である。このような譬喩が成り立つのは、インドサイが、アフリカのシロサイ、クロサイと違って一本角であるからである。ただ、昨日の番組の中で、インドサイは群れないとの説明があった。実際、映像の中のサイたちは、みな独りで湿原をのし歩いていた。つまりサイそのものが「ただ独り歩」む存在であるらしい。この言葉には、サイのそうしたイメージも含み込まれているのかもしれない。


テレビの前でぼんやり過ごしていたら、「西郷どん」が始まった。奄美から呼び戻された西郷が島津久光に初めて目通りするシーン。「翔ぶが如く」では、高橋英樹が、長煙管と煙草盆を小道具に使って印象的な演技をしていた記憶があるが…。「昔はよかった」などとは言いたくないので、このくらいで。



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飛鳥に遠足

2018年06月04日

6月4日(月)

昨日、ウセルさんとD君を連れて飛鳥に行った。前に書いたとおり、このところ御山暮らしが続いているので、休日ぐらいは気晴らしがしたい。ウセルさんも同様と思い、誘ったのである。飛鳥は、高野山から半日くらい出かけるには手頃な場所である。この10ヶ月間に京奈和道が五條よりも先に延び、飛鳥はぐんと行きやすくなっていた。

最初はやはり石舞台である。これはbang soである、と説明すると、ウセルさんの分かりは早い。巨石をどのように運搬したかの想像図も興味深げに見ていた。次は飛鳥寺。日本最古とも言われる釈尊像(飛鳥大仏)には二人も感銘を受けたようだった。お参りを終えてから、門前の売店でくず餅とヨーグルトを買って分けて食べる。お店の人が何かと親切にしてくれた。それから安倍文殊院。ここの一番の目当ては、快慶作国宝渡海文殊像であるが、阿倍仲麻呂を始めとする安倍一族を祀る金閣浮御堂で行った厄除け祈願もなかなかだった。これは全部で8枚のお札を持ち、一枚につきひとつの厄除けを念じつつ、御堂を一周する、というものである。終わって、ウセルさん、「ああ、これで厄がすっかりなくなった気がします」と言う。私はと言えば、厄落としには8枚ではとても足りないと内心思っていたから、二人の心境には随分と開きがあるのである。

最後に高松塚壁画館を見て帰途に就いた。夕食は例によって橋本の「ニューデリー」でインド料理を食べた。D君は日本に来てから日本史を勉強したそうで、車内でその知識をいくらか披露した。古墳時代など他の留学生は知ろうはずもない用語も知っている。この調子ならば、この人の留学は大丈夫そうである。入梅前の晴れの一日を楽しんだ。

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こっ、こんなことが

2018年05月31日

先週の金曜日、去年12月に損傷した歯の治療がようやく終わった。1時間は食事をしないようにというので、橋本まで行って喫茶店で時間をつぶした。

8時過ぎにそこを出て、駐車場に止めた車の前で、ポケットに入れた車のキーをさがしたが、なかなか出てこない。ケースに入れた老眼鏡、眼鏡ふき、スマートフォン、ハンカチ、鍵の束、領収書、メモ書などなど私のポケットにはいろいろなものが入っている。それらをかき分けながら、ズボンと上着のポケットをまさぐる。まもなく指先に10年以上慣れ親しんだキーホルダーが触った。鞄を後部座席に積んでいざ出発。実はその時、かすかに違和感を覚えたのであるが、そのまま発車した。5キロほど走って笠田のドラッグストアの駐車場に入り、車を降りようとして気がついた。あれ、スマホがない。やれやれ、さっきの喫茶店に置いてきてしまったかと思いながら降り、なにげなく車の後部を見て、ぎょっとした。

トランクフードの上にスマホと眼鏡ケースがちょこんと乗っているではないか。私は瞬時に事態を理解した。さっき喫茶店の駐車場でキーをさがしたときに、ほとんど無意識にスマホと眼鏡ケースをトランクフードの上に置いた。それを忘れて、そのまま5キロも走って来たのである。トランクフードの上部は狭く、わずかながら傾斜している。途中一度でもブレーキをきつくかけたり、ハンドルを急にきったりしたら、スマホも眼鏡も転げ落ちてしまったはずである。

もって私の運転技術の卓抜さを証するに十分であるが、心配なのは、大事なものをよりによってそんなところに置きっぱなしにする私の頭の方である。

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たまりかねて医者にゆく

2018年05月28日

「たばこすいますか」

「いいえ」

「よくしゃべりますか」

「まあ、教員やってますから、しゃべるのが商売です」

「なるほど。ストレスはありますか」

「特にないと思いますが、敢えて言えば・・・ダイエットがストレスでしょうか」

「ダイエット?まあ、人によってはそういうことも。ともかく、ストレスが原因です。典型的な症状ですよ」

「リフォームのために片付けをしたときに、ほこりやカビを吸ったかもしれないんですが」

「関係ないでしょう」

「アルコールを飲むと腫れるというようなことは」

「関係ありません。神経性のものです」

「この●●●(薬の名前)を飲むと、少しいいような気がするんですが」

「それは、これには効きません」

3月の終わりくらいから、喉の不調に苦しんできた。別に痛いわけではない。喉の中が腫れているようで、呑み込みずらいことがある。声がかすれて、自分のものでないような。最初は花粉症の症状だと思っていた。どうせそのうち治ると。しかし、時間が経っても治らないので薬を買って飲み始めた。多少効くような気もするが、すっきり治まるわけではない。ついに意を決して、近くの耳鼻咽喉科に行った。鼻からワイヤーのようなものを入れられ、声帯の動画を撮られた。それを見ながら説明を受ける。声帯というものを見たのは初めてである。こちらは重大な病気かもしれないと恐れていたから、お医者のことばに胸を撫で下ろす。

診察を終わって病院を出て、向かいにある調剤薬局で漢方系の薬を受け取る。その足でパンジョのレストラン街に行き、クリームコロッケとヒレカツの定食(ご飯、キャベツの千切り、アサリの味噌汁はおかわり自由)で、いくぶんのストレス解消を図った。



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草深い古寺

2018年05月27日

5月27日(日)

昨日、午前中に自宅に戻り、職人さんたちに差し入れをした後、いつも通り、泉ヶ丘駅前に出て昼食を取り、お茶を飲んだ。高野山に戻るには時間が早いので、南図書館で何冊か本をめくった後、思い立って、高貴寺を訪ねた。来週、高貴寺では慈雲尊者生誕300年祭が挙行される。K野さんからその案内を貰ったが、当日大学で所用があって行けそうもないので、前もって訪ねたのである。


高貴寺のある河南町は、泉ヶ丘からはそう遠くない。PLの塔が遠望できる範囲内である。行ってみると、参道の崩壊が前よりも進んでおり、危機の進行を感じさせたが、住職は相変わらず意気軒昂だった。「墨、擦りませんか」

墨擦りは遠慮し、いくらか話をした。当日は大勢詰めかけるという。寺に静寂が戻った後、学生たちを連れてくる方が良さそうに思われた。


高貴寺に来ると、気持ちが安らぐのを覚える。久しぶりで「草深い古寺」という言葉を想い出した。これは、子どもの頃に習字塾で与えられた課題である。小学生の時分、私は、親の方針で、毎週日曜日の午前中に開かれる習字塾に何年も通わされた。私は親の言いつけをよく聞く「よい子」であった。この塾の指導法は、先生にお手本を書いてもらい、それを見ながら一二枚書いて、先生に朱筆で添削を受けるというもので、何ら強制を感じさせるものではなかったが、私は内心これがいやでいやでたまらなかった。できれば塾を休んで、テレビを見ていたかった。才能もなかったのだろう、字は少しも上達しなかった。ただ、「草深い古寺」という課題をもらった時には、これが妙におもしろく思われた。すると不思議なもので、字も割合うまく書け、私は先生に誉められた。


考えてみれば、今の境遇に至る下地は、すでにこの頃には私の中にできていたのであろう。

私にとって高貴寺は、「草深い古寺」のイメージにぴったりの寺である。



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